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美術に関する展示会、書籍などあれこれ。

美術館ログ 「クールベと海展」

先週末にまたまた美術館に行ってまいりました。

今回行ってきたのは、パナソニック留美術館でやっている「クールベと海展」。

 

クールベといえばフランスの写実主義画家。目に見えるものを、ありのままに描く。

その究極の作品といえば、美術史上最もスキャンダラスな作品とも称される「生命の起源」。私も初めて見たときは衝撃でした。

 

ですが、今回の作品展で取り上げられているのは彼が緻密に細密に描写した、

海を中心とした風景画です。

 

時に穏やかで、のどかで、優しく明るい。

そして時に荒々しく暗く、深い。

 

そんな森や海の様子を、何度も何度も夢中になり彼は描写したようです。

彼の初期の風景画から晩期に至るまで時系列とともに並べられていましたが、

初期の彼の描写は意外とべた塗チックで、まだまだ進化途中という感じがしました。

全盛期の彼の作品しかよく知らなかった私にはそれがとても新鮮に映りました。

 

やはり晩期に近づくにつれ、彼の関心はどんどん海に向くと同時に、

その細密さはレベルアップをしていっていました。

 

展示とともに丁寧な解説と彼のそのころの人生についての説明もあったのですが、

クールベはめちゃくちゃつかまってました。

政治的な思想とか広場の円柱壊したとか、割とコンスタントにつかまっているのが

面白くて思わず笑ってしまいました。

 

クールベとともに、モネやコンスタントロワイヨンの絵も展示されていて、

写実的な絵も印象派のふんわりした絵もあり、展示ボリュームも大きすぎず小さすぎずでのんびり癒されることができます。

展示室も暗くて落ち着いた色合いで素敵でした。

 

ぜひ、足を運んでみてください

 

美術館のおすすめの楽しみ方3選

美術館、よく行きますか?

私は多いと月に4回いくくらい美術館が大好きです。

でも特別展にいくと、大人一人のチケット代って結構お高いですよね。

そのチケット代めいっぱい楽しむための、私の美術館ルーティン3つをご紹介します。

 

1. 美術館のチラシ、展示品一覧は必ず持ち帰る!

訪れた展示会のビラと展示品一覧表は、私は必ず持ち帰ります!そのためにA4のクリアファイルは必ず持参しています。この先開催される展覧会のビラも置いてあるので、気になった展覧会のビラも持ち帰り、自宅できれいにファイリングしています。

また展示品一覧は鉛筆で気になった作品名の横に自由にメモを書きます。「この色がきれい」「この作品なんか好き」など何でもオーケーということにして、なるべくよかった作品は記憶に残るように工夫しています。

2.ミュージアムショップをチェック!

美術館のショップって全体的にとてもセンスが良くて、アート好きのツボを押さえたグッズがたくさん置かれていますが、私は心に残った絵のポストカードは必ず購入しています。さらに展示会そのものを気に入った場合は図録も迷わず買います。

が、ここで私が必ずチェックしているのは中身の写真のクオリティです。

印刷によっては色が実物よりくすんでいたりときれいじゃない場合もあります。

また、本の継ぎ目で絵の一部が隠れてしまっていたり、絵が小さかったり...そういう残念ポイントがないか確認したうえで購入しています。

必ず見本はおいてありますので、中身をチェックすることは強くお勧めします。

 

3.書籍を読んで復習!

私は美術本を読んで、その展示会にかかわる画家や時代背景に関して予習してから美術館に行くようにしていますが、それでも知らない画家や知らない地名は鑑賞している間にどうしてもでてきます。

そしたらおうちに帰ってから必ず本を読みなおしたりネットで検索したりして復習をします。今後の絵画鑑賞の際のたくわえにもなるので、きっちり調べることをお勧めします。回を重ねていくと調べることも減っていきますよ。

 

 

美術館ログ 「コンスタブル展」編

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コンスタブルといえばイギリスを代表する風景画家。

ターナーと肩を並べ、イギリス絵画の復興と風景画の発展をけん引した画家です。

 

現在、三菱一号館美術館で開催中の彼が主役の展示会に遊びに行ってみました。

テート美術館所蔵作品を中心に、コンスタブルの代名詞というべき優しい雰囲気をまとった写実的風景画はもちろんのこと、彼の手掛けた肖像画も展示してあります。

繊細かつ大胆な自然描写、優美さ漂う家族の肖像画など見所たっぷりで、ターナーとの対比的展示も非常に興味深かったです。

 

三菱一号館美術館のもう一つの魅力といえば、趣ある館内の内装。

歩くとぎしっときしむ温かみのある木造の美術館は最高に癒されます。

そしてグッズのおしゃれさと種類の多さも素晴らしいです。

私のお勧めはレジ横にあるフランス産の紙のお香。とってもいい香りでしかも扱いやすいお香ですよ。また館内のカフェではおしゃれなお茶も楽しめますので、展覧会の感想を整理しながらゆっくりアフタヌーンティーを楽しむのも幸せなひと時になるかと思います。

 

絵画の味わい方を体系的に学んでみたい方は、ぜひ下記の書籍も参考になさってくださいね。

 

美術館ログ 「モンドリアン展 純粋な絵画を求めて」編

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みなさんは美術鑑賞、お好きでしょうか?

とっつきやすい印象派絵画や、なじみのある浮世絵などがお好きな方は多いかと思いますが、近・現代の抽象絵画はいかがでしょうか?

よくわからない、難しい、なにをみたらいいのか...

そんな風に思ってしまいますよね。

 

私も抽象絵画、得意ではないのですが、新宿のSOMPO美術館で開催中の「モンドリアン展」に遊びに行きました。

 

モンドリアンといえば、「ザ・抽象画家」という感じの、幾何学的構成と原色のイメージがあるかと思いますが、実は彼はアカデミーで硬派な絵画も勉強していました。

 

初期は印象派を思わせるような筆致の風景画や肖像画も手掛けていました。

それはそれは荒い筆致で後処理も雑で、ゴッホのような凹凸が見られたり色の乗っていない部分があったりと独特な雰囲気でした。

彼は徐々に補色や幾何学的に空間を分割することに興味を持ち始めるのですが、そのころの絵画は目もさえるような蛍光色に近い色やパステルカラーを多用しており、鮮やかすぎて目もちかちかします。またスーラのような点描チックな作品も制作していました。

それらを経て、人々によく知られている「コンポジション」などの作品にたどり着きます。

 

本作品展はその流れを丁寧に追っており、彼のキャリアを包括的に知ることができます。また、彼の所属していた「デ・ステイル」でともに活動していたリートフェルトなどの作品も展示されており、構成主義全体をまんべんなく楽しむことができました。

わかりやすく、ボリュームも少なすぎず多すぎず、とっつきやすい展示会でした。

 

私は書籍を通して美術史や画家を独学したのですが、知識とともに「絵画の見方」を養うと、一見わかりにくい絵画も自分なりの解釈が生まれ始め、より深く絵画の世界を楽しめます。

おすすめは初心者でもわかるように、たくさんの絵画を取り上げ丁寧に解説されている本。ネットで画像を探して拡大してじっくり見ながら読むのが楽しいですよ。

興味がある方は「論理的美術鑑賞」という、堀越啓さんの書籍はいかかでしょうか?

フレームワークを紹介してくれているので、いろんな絵画へ応用が利くと思います。

感性豊かな大人を目指して。。。